全日本学生大会2021と自分の事(2003〜2021)③
ー3年の猶予ー
2016/4~6 (1年)
高校を卒業後。
僕は親に頼んでマイクロマウス(ロボトレース)をやっていると言う学校に進学しました。ここも名前を書けば入れる類の学校ですが、学費を工面してくれたお父さんお母さん本当にありがとう。
地元の滋賀県から離れて都会の名古屋で寮の下宿生活が始まります。
まあそんな事はさて置き、大会で走っているようなロボトレーサを作るためにはどうすれば良いのでしょうか?
取り合えずマイクロマウス・ロボトレースをやっていると宣伝している学校の授業を受けてみます。
初っ端の授業はまったくロボトレースとは関係ないことが分かりました。緑だったりや黒の基板はいつ作るのかな?マイコンを使ってプログラムを組むのはいつなんだろう?
そんなことを思いながら入学時に配られた4年間のカリキュラムを見てみるとプログラミングなど勉強して何かを作るのは3年生からと書いてあります。(むむむ?それでは就職活動に間に合わないぞ??僕のシナリオには全然合わないじゃないか)
そして作るのはタミヤのよくわからないキットと来た。そんなものを就職活動の時に作り始めて何になるんだ??
取り敢えずもう授業は宛にならなさそうです。では別の教員や上級生に聞けば特別にトレーサの作り方を教えてくれるのでしょうか…?
しかし、周囲に手当たり次第に聞いた感じ、どうも少なくとも誰も知らないと言います...
それだけでは無く、やはり名前を書けば入れるレベルの学校という事もあり、高校の頃と同じく、教員や生徒に全くやる気を全く感じません...そして何となくわかりました。「ここはあくまで教育機関では無くビジネスとしてやっているんだな…馬鹿な人間をだまして問題なく学費を回収出来ればそれでオーケーなんだな」と思いました。
ではマイクロマウスで結果を残していると言うのは何だったのか?(これは大人の事情なのでこれ以上は伏せておきます。分かる人はわかりますね)
正直むちゃくちゃ騙された気分になりました。せっかく親にまで苦しい思いをさせて、奨学金という名の借金までして田舎から出てきたのにこの現状はあんまりです。
前に記したとおり、僕は脳の作りの事があります。武器も持たずに丸腰で一般的な筆記試験などを考慮した就活に挑んでは勝ち目がありません。面接の以前に門前払いでしょう。恐らく入れた企業があるとしても、そこは【学歴不問・初心者歓迎】な今まで通りの人種がごった返すステキな企業のはずです。
いくらモノづくりが好きだとしても、その思いだけでは社会に通用しないことは高校受験の際に既に経験済みです。恐らく何も作品を作ったことの無い平凡な学生にあの時のように負けるのでしょう。
つまり、僕は就活までの残りの時間で「学歴のある彼らより、企業から見て頭2つ3つ分、明確に突き抜けなければならないのです」向こうから欲しいと言わせる。その手段としてマイクロマウス(ロボトレース)を選んでここに来たのに…これはあんまりです…
あと3年。あと3年でもう自分の人生が確定してしまう。このままでは予定通り地獄行き。これが最後のチャンスのはずだったのに。
ー孤(こ)ー
2016/5~6 (1年)
地元から離れた大都会名古屋の寮で一人。面白くも無い不快な人間たちに囲まれて、僕は考えていました。
自分以外にもマイクロマウス大会に現在参加・参加しようとしている学生は今まで積み重ねてきた学問に対する適正がある事。ある程度大まかにマイクロマウス大会の成績順を見ると、何となく学歴順位である事。そしてそんなフィールドで自分の属性を考慮すると明らかにアウェイである事。また、他の大学の学生は今までの積み重ねてきたサークルの技術蓄積がある事や日々タイムを上げるために昼夜議論しているであろう事。
それなのに、自分は学校や外部からの技術的な援助は期待できず、現状僕のプログラミングスキル、電子工作のスキルは皆無。
考えれば考えるほど今の状況が不利な事がわかります。
ー他力本願ー
2016/6~7,8 (1年)
それからは本当に毎日不機嫌で、どうして学校の教員なのに皆回路や制御の事を知らないのか?授業のレベルがひどすぎる。進みが遅い。あんな教員早く解雇しろ。早くマイクロマウスの作り方を教えろ。こっちは金払っているんだ。マイクロマウスを作ってるんだろ?などと考えていました。
しまいには先生に向かって「あいさつは?」などとイチャもんを付け出します。最悪です。
同じクラスの学生にも奨学金を借りている生徒がいたのですが、彼らが授業中スマホでゲームをしていたり、ヘラヘラしているのを見ると「お前ら金払ってここにいんのにマジで何してんの?それやったら高卒で働いて稼いだ方がよくない?やってること意味わからんで?」などと関西弁で捲し立てます。本当に嫌な奴だったと思います。
この時の僕はもう周りと同じようにスマホでゲームをしたり、夏休みに海に行ったり、貴重な時間を使ってバイトで働いたお金を課金や娯楽に浪費したりする精神的余裕はありませんでした。
1日でも1秒でも早くマシンを作らないといけないのに。この間も他の優秀な学生はチームで切磋琢磨しているのに。だから早く俺に教えてくれよ...
なんだかんだずっと誰かをあてにしていました。
ー笑われたロボットー
2016/12 (1年)
1回生の終わり頃
2度目の熱田の森大会が近づきます。僕はあの時見た彼らのようなプリント基板でゼロから設計されたロボトレーサを作りたくて仕方がありませんでした。ただ、結局誰もプリント基板の作り方やマイコンの選び方、dcモータの回し方を教えてくれませんでした。何も成長できていません。むしろ昔高専に努めておられた先生からは「ああいうロボットを作れる人はホントに特別な人で、ここにいる限りはかなり難しいと思うよ。残念だったね」とも言われました。僕も全く同感でした。
ただ、何かしないといけないと焦っていた僕は他の競技者に笑われる覚悟で、好きだったレゴマインドストームを使って大会へ参加することにします。
ただ、このレゴマインドストームはモータの回転速度が遅いので、付属のタイヤをそのままモータに取り付けてはマシンスピードが出ません。かといって、下手にレゴのギアでギア比を稼いでしまってはギヤのバックラッシュとシャフトのねじりからくる制御遅れでZ軸の応答性に影響が出てハンチングを起こしてしまいます。なのでカインズでパイン材の丸板と、それにレゴを接着するために中心を出すためにちょうど良さそうな同サイズの排水溝の蓋が売っていたのでそれを買いました。ほんとはコンパスを使えば何となく中心が出そうなことは分かっていたのですが、よくわからないのでこれを買いました。

そしてパイン材と排水溝の蓋を持って放課後コースの置いてある教室に戻ると2人の教員に指をさして笑われました。
「お前排水溝の蓋で走る気かよwwwwww」
「もっとメカ組むとかあるだろwwwwwwお前ほんとポンコツだなwww」
授業中に遊んでいる学生より、真面目に出場しようとしている学生に指さして笑う構図は明らかにおかしいと思いました。これならば何もしないほうがマシ。と普通の学生はなってしまうと思います。
ただ、僕も当時内心学校の教員をバカにしていたので、こいつらは人を馬鹿にしないと自分の尊厳を保てない雑魚なんだな。可哀そう。と思っていました。口に出したかもしれません。どちらでも同じですね。
ー大会当日ー
2017/3/19 (1年)
僕のロボットは他のどのロボットよりも劣っているのは明らかで、本当に馬鹿にされる覚悟でした。大会当日、他大学生の学生のロボットの出走が終わって、自分の出走順がやってきました。結果はのろのろ運転でしたが無事に完走。
むかついた担任の先生の名前をもじってロボットにつけての出走だったので、ダメだった場合「やっぱお前あかんわ、、」と言うつもりだったので少し複雑な気持ちです。
そして出場してみてこれまた驚きました。話しかけたどの大学の選手の方も真剣に話を聞いて下さり、親切に自身のロボットについて教えて下さります。誰も僕を小ばかにしたり僕のロボットをみて嘲笑ったりはしませんでした。
出走時の動画はありませんでしたが、小コースでの動画を貼っておきます。ちゃんとコース記憶をして加減速走行を行っています。
ー大会後ー
2017/3/19 (1年)
大会が終わった後、話した彼らの連絡先を聞くのを忘れたことに気が付きました。ダメもとで出走表からその方の大学のサークル名で検索してみたところ、まさかのTwitterアカウントがヒットしました。
ドキドキしながらフォローしその後もそれを頼りに情報収集をしたことを覚えています。
ー始動ー
2017/5/1 (2年)
2年に上がり一ヶ月程たった頃。もうマシンの構想はある程度決まっていました。
よくユーチューブやTwitterに現れる、そこそこ早い台湾勢のマシンレイアウトを参考にあとはオリジナルで構成を決めていくつもりです。(ありがとうはむたろう.jp)
電子回路は王者アニキのブログにあったsimpleトレーサというロボトレーサの情報を見つけたため、電子回路と電子部品の構成はそれを頼りに起こそうと思いました。
どうもsimpleトレーサに使用されているマイコンはSH7125というものらしく、一先ずこれでマイコンの目星がつきました。この資料によるとSH7125は秋月電子という電子部品専用のネットサイトで購入できるそうです。もう少しネットでSH7125について調べていると、どうもマイコンボードというものがあるらしく、これでマイコン単体で動作させることが出来るようです。これも買ってみます。
届きました。
秋月電子の製品説明書にそってプログラムを書く為のソフトを入れてみます。マイコンを動かすときにC言語を使うという事は知っていましたが、書いた事が無いのでよくわかりませんでした。レゴマインドストームはGUIのソフトでブロックをくっつけてプログラムを書くので。
どうもPE.DRL.BIT.B1=0;などと記入して書き込むとマイコンボードの端子の電圧が操作できるそうです。オームの法則などよくわかりませんでしたがこれでLEDが動かせるのでよしとします。
ただ、なんでC言語でこう書くのかも全く分かりません。PEは何となく説明書のピンの名前とわかるのですが、その後のDRL.BIT.とかがよく分かりません。
これもネットで調べるとヘッダファイルに沢山コードが書いてあって、そこから文字を抜き出すと行けるようです。別のポートでもLEDをつけたり消したりしてみたかったので、僕もヘッダファイルから似た感じに文字を抜き出して「.」を入れて書いてみたらいけました。嬉しかったです。
ー良書ー
2017/5/17 (2年)
そんなことをしていると、追い風が吹きました。
マイクロマウスの作り方を記した本が発売された様子です。マウサーをフォローしまくって溢れかえったTwitterのタイムラインではその話で持ち切りです。早速購入してみましたが、びっくりです。今まで知りたかったプリント基板の作り方や発注方法等が書かれています。そしてマシンの設計にはfusion360という3Dソフトを使うと書いてあります。
足回りもこれで設計するようです。
早速インストールしてみます。
モータの3Dモデルを書くことが出来ました。モータが欲しくなりました。
大会で知り合ったN氏に思い切ってTwitterで連絡を取って買い方を聞いてみます。
凄く優しく対応してくださいました。

「やっぱり出来る人は余裕が違うな」そう思いました。
見積依頼を企業に依頼します。
ー中部支部会とセンサ回路ー
2017/5/20 (2年)
後日そうこうしているうちにN氏からお誘いのDMが届きます。
中部で開いている月例会に呼んでくださりました。そこには彼以外にもマウサーが沢山いて、月に一度技術交流会を開いているそうです。
呼んでもらえて嬉しかったです。
2017/5/21 (2年)
simpleトレーサの資料には情報が無くて、行き詰っていたセンサ回路やその他ライントレースをするうえで気になっていた事について教えてもらいました。帰宅後、教えてもらう際に使った紙を寮の部屋に貼って早速回路を試しました。

ネットで調べてADCのソースも書いたりして、試してみると成功しました。
うまくいった事が嬉しくて狭い6畳の部屋を端までスキップして最後に枕に顔をうずめて叫んだのを覚えています。
ーマシン設計ー
こうなったらこっちのものです。
マウス本やsimpleトレーサの資料を見ながら、構想していたマシンレイアウトをfusion360にアウトプットします。

マウス本もアニキのsimpleトレーサも基板を設計する方法はEAGLEを主としていましたが、僕は英語がわからなかったので日本語対応で分かりやすかったフリーのPCBcadのpcbeで回路を模倣しました。ちなみに回路図も読み方がわからなかったのでsimpleトレーサの回路のパターンを追いながら描きました。正直どの部品が何の役割かなんて分かっていませんでした。(ただ、simpleトレーサのようにマイコンボードをそのまま乗せたくなかったので、同じ部品を置けば行けるはず、、と山をはって無謀にもマイコンは表面実装で設計したのでした。そしてマウス本に書いてある通り、基板を発注。
ー届いた部材ー
2017/6/29~(2年)
着々と部材が届き始めます。
この頃になると僕も学校で妙に静かになります。今まで垂れ流していた文句も一切言わなくなり授業中に教員の目を盗んでセンサを曲げたりで寮の外でも個々で進められる作業を淡々と進めていたと思います。
基板やマイコンが届いたので寮の部屋でハンダ作業を進めていきますが、やはり何も分からず設計を行ったためか、プログラムが全く書き込めません。それどころか電源を入れるとマイコンが無茶苦茶暑くなります。↓

電源系(5V)を基板の外から取ったり、マイコンの向きが間違っていたり、ハンダコテでピンが曲がったり。結局7回目のマイコンハンダでかつ、マイコンを基板に指で押さえつけながらだと書き込むことが出来ました。はんだがうまくできていなかったようです。
2017/7/4~(2年)
そして何とか組立が終わりました。


ー夏休みー
2017/7/~(2年)そのまま夏休みに入りました。滋賀の実家に帰りましたが、何も予定を入れずにひたすらロボットと戯れていたと思います。今までで最高の夏休みだったと思います。
AD変換は出来ていたので、ネットのサンプルプログラム参考にしながらPWMでモータを回してみます。モータが回ったので、AD変換したセンサ値をC言語で作った変数に入れて、それから計算して左右のモータPWMのレジスタに値を入れてみると、まさかの上手くライントレース出来てしまいました。
嬉しかったです。
帰省中にTwitterを見ていると、金沢草の根大会が開催されるそうです。年に何回も大会がある事を知らなくて僕はエントリーしていなかったので、YouTubeのライブ中継で様子を見ました。大会について調べると次は中部初級者大会が開かれるそうです。
START&GOALのアルゴリズムを書きます。そしていざ書いていると、何となく探索走行と加減速走行も実装出来る気がしてきました。一走目の走行を元に直線とコーナーでコース記憶情報を分けてみます。max速度or最低速度の2種類ですが、加減速走行を実装することが出来ました。
ー中部初級者大会ー
2017/8/31(2年)
そして初級者大会当日。結果はなんと、優勝。

大会には例のアニキも見学に来ていて、出走後に「攻撃的な走りだね~。」なんて言われたことを覚えています。今まで同じ土俵に経つことさえ難しいと思っていた、雲の上の存在にこの時初めて認知されて、幽かですが確実に自分の人生が1歩。進んだ気がしました。
4へ続く














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